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事務所だより 平成27年3月号

いよいよ今年10月に全国民・法人にマイナンバーが通知され、来年1月から税 と社会保障、災害対策に利用されることになります。
内閣府が1月に実施した世 論調査ではその認知度が低いことが明らかになりました。
個人情報の不正利用や 漏えいを心配する声が絶えませんが、何より従業員とその家族のマイナンバーを 管理することとなる会社には、万一マイナンバーが漏えいした場合厳しい罰則が 法律に定められているのをご存知ですか?
=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆平成27年3月の税務
◆会社の変更と外国籍従業員の届出義務
◆高年齢者雇用の実態
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◆平成27年3月の税務
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3/10
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3/16
●前年分所得税の確定申告
●所得税確定損失申告書の提出
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出
●個人の青色申告の承認申請
●前年分贈与税の申告
●国外財産調書の提出
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
3/31
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事 業所税)・法人住民税>
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短 縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住 民税>(半期分)
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定 申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告< 消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中 間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
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◆会社の変更と外国籍従業員の届出義務
----------------------------------------------------------------------- ◆外国人従業員の届出義務
外国籍従業員を雇用されている企業の皆様、「所属機関等に関する届出」とい う手続きをご存知でしょうか?
これは、平成24年7月から始まった新しい在留制 度により新設された制度で、雇用関係や婚姻関係などの社会的関係が在留資格( ≒ビザ)の基礎となっている方が、その関係に何らかの変更が生じた場合、その 旨を届け出なくてはならないという義務を外国籍の方本人に課すものです。
正確 には、平成24年7月9日以降に上陸許可や在留資格の変更、在留期間の更新許可を 受けた方に届出義務があるため、外国籍従業員全員にこの義務が課されていると いうわけではありませんでしたが、制度の施行から2年が経過し、現在ではほと んどの方が対象になっています。
◆会社の移転や名称変更のときにも
では、「社会的関係に何らかの変更が生じた場合」とは、実際どのような場合 を指すのでしょうか。
たとえば就労目的の在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取 得している方の場合、その就労ビザは会社との「雇用関係」により付与されてい ますので、会社を離職したり、他社へ転職したりすると、社会的関係に変更が生 じたとして届出を行うことになります。
つい忘れてしまいがちなのが、『会社の 名称や所在地に変更があった場合』です。
法務省では、届出を行わなくてはなら ない変更事項として、「所属機関の消滅、所属機関との契約の終了・新たな契約 の締結があったとき」の他、「日本にある契約機関の名称・ 所在地に変更が生 じた場合」と定めています。
「そういえば今年は会社を移転した」「社名変更を した」という企業様で、もし外国籍従業員を雇用していらっしゃいましたら、従 業員の方が所属機関等に関する届出を行っているかどうか、ぜひ一度確認してみ てください。
◆届出を怠ってしまうと・・・
残念ながら、まだまだ認知度の低いこの届出。
しかし、最近では届出を怠った 状態で在留期間の更新申請などを行うと、審査過程で、別途確認の連絡や資料提 出の通知が来るケースも見受けられるようになりました。
届出を怠った場合は20 万円以下の罰金に、虚偽の届出をした場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰 金に処せられることもあります。
届出義務を課されているのは外国籍の方本人で はありますが、会社に変更が生じた場合には、合わせて従業員に対し届出の案内 したいところです。
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◆高年齢者雇用の実態
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◆9割以上が高年齢者雇用を実施
高年齢者雇用について厚労省より平成26年6月時点の実施状況等をまとめた集 計結果が発表されました。
高年齢者雇用安定法では60歳以降の継続雇用についていずれかの雇用確保措置 を講じなければなりません。
@定年制の廃止
A定年の引き上げ
B継続雇用制度の導入
厚労省の調査では調査した14万5千社余りの企業のうち、98.1%は雇用確保措 置をすでに実施していて未実施の企業は1.9%と少数でした。
企業別では大企業 が99.5%
(約1万5千社)、中小企業では98%(約12万8千社)でした。
◆8割は継続雇用制度実施
雇用確保措置の内訳は、実施している企業のうち「定年の廃止」を行っている 企業は2.7%(約3800社)、「定年の引き上げ」の実施15.6%(約2万2300社)だっ たのに対し、「継続雇用制度の導入」による措置を講じている企業は81.7%(約 11万7千社)と8割程度を占めています。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業割合は、71%(約10万3千社)、大企業 では51.9%(約7800社)、中小企業では73.2%(約9万5千社)です。
70歳以上でも働ける企業となると19.9%(約2万7700社)のうち、大企業は約170 0社、中小企業約2万6千社となっており中小企業の方が長く働ける状況である事 が分かります。
働く時間や賃金を見直しつつ、雇用契約期間の更新をしながら柔軟に継続雇用 をしてゆく雇用形態が一般的です。
◆目標は「70歳まで働ける企業」作り
政府は生涯現役社会の実施にむけた取り組みとして将来の労働力減少、団塊の 世代の65歳到達等も踏まえ、年齢に関わりなく働ける社会を目指したいとしてい ます。現在の雇用確保を基盤として70歳まで働ける企業の普及、啓発に取り組む としています。
ただ、企業として人材確保は重要ですが若年者の雇用にも繋げて いかなければ先行きが危ぶまれます。雇用確保は年齢分布を考慮しつつ、行わな ければならないでしょう。

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◆相続以外の承継 事業承継した資産の償却方法
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相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いについては、被相続人の取得 価額、帳簿価額及び当該資産の耐用年数は引き継ぎ、被相続人が選択した償却方 法は引き継がない、と定められています。
このため、相続人が定率法を選択する場合には、新たに償却方法の届出が必要 となります。

◆廃業した場合の償却資産の取扱い
例えば、父が事業を廃業し、その生計を 一にする長男が父の事業を承継、父が事業の用に供していた店舗(当該店舗は父 が旧定率法で償却していた)を無償で父から借り受けて事業の用に供した場合、 長男の所得計算における上記店舗の減価償却費の計算はどの償却方法によるべき か、疑問が生じるところです。

◆課税当局の回答
課税当局の回答は、「旧定率法」により計算する、です。
その根拠は所得税法56条です。この規定からは、次のような解釈になります。

親族(父)がその有する資産(店舗)を無償で当該事業(承継した長男)の用 に供している場合、居住者(長男)の事業所得の額の計算上、必要経費に算入す る減価償却費は、居住者(長男)と生計を一にする親族(父)が所得金額の計算 上、必要経費に算入する減価償却費である、ということです。
また、居住者の有する減価償却資産が年の中途において不動産所得、事業所得 等を生ずべき業務の用に供された場合には、そのよるべき償却方法として旧定額 法、旧定率法を選択している減価償却資産は、旧定額法、旧定率法等により償却 費の額を計算することになっています。

◆回答に対する補足説明
相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いとは異なり、父の廃業後、そ の事業を承継した長男が父の所有する店舗を無償で事業に供しています。
この場合、長男の当該事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入する減価 償却費は、父が店舗使用の対価を受け取ったならば不動産所得の金額の計算上、 必要経費に算入する減価償却費になります。
したがって、この減価償却費の額は、父が選択していた方法、旧定率法により 計算した減価償却費の額となります。結論は、償却方法は旧定率法、ということ です。



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